仕事を終えて外に出ると、ものすごく大きな犬が散歩していた。それは真っ黒な犬だったので、夜に見ると何の犬種だか判断できないが、とにかく大きく、立ち上がると飼い主の女性より大きいものと思われる。種類に関係なく犬が好きなので、その姿を目で追っていると犬は何かを見つけたらしく、猛然と走り出した。飼い主は犬の名前を呼びながら 「止まりなさーい!」 と言っていたが、犬の勢いに引きずられるように走っていく。あれでは犬を散歩させているのか、犬に散歩させてもらっているのか分かったものではない。角を曲がって姿は見えなくなったが、「ストップ~」 という飼い主の声だけは、いつまでも夜空に響き渡っていたのであった。